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見えない労働を数字で見える化する ―― 脇山米とお米の適正価格(福岡市早良区・中山間地農業)――

「お米は植えて、刈ればできる」。多くの人は、そう思っているかもしれません。

しかし現実は違います。田植えと稲刈りは氷山の一角。その下には、誰も見ていない労働時間が積み重なっています。今回は、その「見えない労働」を数字で見える化し、10a=100万円という価格設定の背景をお伝えします。

お米の適正価格を考える

水稲10aあたりの労働時間

馬場ファーム(福岡市早良区・脇山)の作業記録では、10aあたり50〜70時間(販売・袋詰め・発信・イベント等を含む広い意味の労働)がかかっています。

一方、国の公式統計(令和5年産)では、水稲の直接労働は約21時間/10a。小規模経営ほど時間が長く、大規模になるほど効率化されています[1]。平成27年産では約24時間/10aと報告されており、近年は20時間前後まで低下傾向にあります[2]

見えない労働の存在と中山間地農業

田んぼの外にある仕事

統計に表れるのは「田んぼの中の直接作業」が中心ですが、実際には次のような仕事が欠かせません。

  • 水路や畦の草刈り
  • イノシシなど獣害対策
  • 袋詰め・ラベル貼り
  • 出荷・イベント販売・SNS発信

研究では、畦畔除草と水管理だけでも小規模層で10aあたり約16時間、大規模層では約3.4時間と報告されています[3]

さらに水管理は総労働の3割近くを占める大きな負担ですが、ICT導入で約80%削減の実証例もあります[4]

10a=100万円の意味

だからこそ私たちは、「お米=食品」ではなく、「お米=労働+地域+歴史を含めた価値」として価格を提示しています。

  • 労働の正当な対価:見えない作業を含めて評価する
  • 地域を守る費用:水田は防災・景観・生態系の役割も担う
  • 歴史と未来をつなぐ投資:脇山の米づくり文化を次世代へ

CSR・SDGsから見た農業の価値

この取り組みは単なる価格の提示ではありません。

  • 地域農業や自然を守ることは、企業のCSR(社会的責任)とも重なります。
  • SDGsでは「目標2:飢餓をゼロに」「目標12:つくる責任 つかう責任」「目標15:陸の豊かさを守ろう」と直結します。

「見えない労働」を数字で見える化することは、消費者・企業にとって持続可能な農業を支える行動につながると考えています。

馬場ファームからのお願い

私たちのお米を選んでくださる方は、単なる「購入者」ではなく、地域農業の未来を共に支える仲間です。

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まとめ

  • 「お米の適正価格」は見えない労働の上に成り立つ
  • 10a=100万円は、労働・地域・未来を含めた適正価格
  • CSR・SDGsの観点からも意味を持つ挑戦

次回は「農業と地域社会のつながり」についてお届けします。

脚注・出典

  1. 農林水産省「農業経営統計調査 農産物生産費(米)」令和5年産。
    https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/
  2. 同調査 平成27年産(全国平均24.20時間/10a)。
    https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?layout=datalist&lid=000001181483
  3. 松岡(2017)、鬼頭ほか(2010):「大規模水田経営における水管理・畦畔除草」。
    J-STAGE記事PDF
  4. 農研機構:田んぼの水管理をICTで自動化(労働約80%削減)。
    https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/076704.html

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